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紅十
ちょうかわいい、たまらん
紅葉さんとショタよっしゃさんの破壊力は表現できない
ガシャーン
良ければ下のタイトルより
ちょうかわいい、たまらん
紅葉さんとショタよっしゃさんの破壊力は表現できない
ガシャーン
良ければ下のタイトルより
「こーよーさん、こーよーさん!」
ドロだらけになった十代の姿を見て、紅葉は思わず目をまん丸にした。
「どうしたんだ?十代。そんなに泥だらけになって。」
読んでいた「月刊デュエル」をパタンと閉じてあわてて少年の頭をパタパタとはたく。
暇をもてあまして、読書しながら『はやく十代こないかな』と思っていた矢先の珍事。
ここに来るまでによく看護師さんたちに捕まえられなかったなと、呆れるくらいに泥まみれ。
鳶色の元気そうに跳ね返った髪の毛から、赤を基調とした子供らしい衣服、膝小僧まで乾いた泥があちこちに付着している。
頬の灰色をぐりぐりと拭ってやりながら、心配そうに十代を見つめる。
誰かに苛められたのではないか、退院して中なの輪に入れなかったのではないか。
まるで自分のことのように心を痛め、眉尻を下げる紅葉。
だが当人はあっけらかんとして、そんなことまるでないようだ。
ニコニコと笑いながら、青年へと精一杯腕を伸ばす。
「こーよーさん!みてみてこれ!」
伸ばされた手を良く見ると、そこには緑色の葉っぱ。
一見ただのクローバーのようだが、よく見ると葉の数は四つ。
いわゆる幸福を呼ぶという『四つ葉のクローバー』という奴だった。
「お。四つ葉のクローバーじゃないか、すごいなぁ十代良く見つけたね。」
感心してクローバーを眺める。
よっぽど落とさないように気をつけたのだろう。しっかり握られたそれはよれよれになってくたびれている。
だが、彼がどれだけ大事にこれを自分に見せにきてくれたのか、心のそこから分かる。
全身の泥は、きっとこのクローバーを探していてついたものだろう。
昨日の天気は雨。まだ地面はぬかるんでいるだろう。
地面に体をこすり付けんばかりにして探している彼の姿を想像するとなんだかかわいくてしょうがない。
頭をなでなでと撫でてやると、うれしそうに「へへー」とかわいく笑った。
「おれね、ずっと『四つ葉のクローバー』探してたんだ。お願い事したくて。」
大事そうに四つ葉を見つめながら、興奮したように話す。
そのキラキラした瞳は、誰よりも輝いていて、飛び切りに可愛らしかった。
そんなにまでしてお願いしたいことなんて、きっと素敵なことなんだろうな。
紅葉はそんな十代の姿を目を細めるてみながら、ふと尋ねた。
「どんなお願いごとをしたんだい?十代。」
「こーよーさんが早く良くなるように!だからね、はい!あげる。」
返ってきた言葉は、青年を驚かせるものだった。
こんなに泥だらけになって見つけたクローバー。
ずっと探していた、幸福の四つ葉のクローバー。
それは、全部自分のためではなく。
紅葉が早く良くなります様にと、つよくつよく願いを込められたものだった。
満面の笑みでこちらへ四つ葉を差し出す。
よれよれのクローバーがこちらに微笑む。
それは何物にも変えがたい程に愛おしく、心を揺さぶるものだった。
十代の小さな頭を引き寄せる。
泥だらけなのも構わず、思うままにぎゅうと抱きしめた。
「こ、こーよーさん!?おれ泥だらけ…!」
突然のハグに驚いてつい大きな声を出す。
握られていたクローバーが掛け布団のうえにぽとりと落ちた。
「なぁに、姉上に着替えを持ってきてもらうさ。それよりも…。ありがとう、十代…。
本当に嬉しいよ。」
少年の優しさが嬉しくて、たまらない程に嬉しくて。
子供らしい温かな体が、ほんのりとミルクの匂いがするのが心地よくて。
加減も忘れて、小さな天使を離さない様に強く抱きしめた。
「こーよーさぁん、いたいよぉ」
半分は照れ隠しに、十代は青年に訴える。
ごめんごめん、と笑いながら手を離す紅葉。
腕の中に残る、暖かな温もり。
寝ても決して忘れるもんか、と心に決めながら、頭を優しく撫でてやる。
紅葉に喜んでもらったのが相当嬉しかったのだろう。
撫でられた箇所を何度も確かめるようになで返しながら、うれしそうに十代は笑った。
「俺も何かお返ししないとなあ。何かあったか…。」
サイドテーブルをひっくり返すようにガチャガチャとあさる。
中にはまだ紙束状態のカードたちと、予備の眼鏡しかなかった。
彼のデッキによさそうなカードは今手元にないし、かといって予備の眼鏡を上げるわけにもいかない。
月刊デュエルは…とおもったが、確か今月号は十代も買っていた。
行動範囲が病院内に限られる紅葉には、同じように四葉を探しに行くなんてこともできない。
あるとすれば、この身一つ。
心から出来ることは、このひとつ。
ふわり、と紅葉の手が十代の前髪を梳いた。
小さな額が露になる。
きょとと小首をかしげた少年には、これから起こることは想像の枠外のようだった。
ちゅう、とかわいいリップ音を立てて。
白い額に、青年の柔らかな唇が触れた。
「!!!!」
あまりの驚きに声が出ない様子の十代。
それも当然だろう、憧れの紅葉さんから、額にキスをもらっているだなんて。
かちんこちんになった少年の姿を見ながら、青年は心の中でクスクスと微笑んだ。
ゆっくりと唇が離れる。
まだ、何をされたのか半信半疑の少年は、ぽかんと口を開いていた。
「こんなもんしかなくてごめんな?十代。
ずっと楽しいデュエルができますようにっていう、おまじないだよ。」
頬をかきながら、ごまかすように謝る紅葉。
だが、相手にとっては何物にも変えがたい宝物になったようだった。
感触を確かめるように。紅葉の触れた額を何度も手で撫でる。
思い出しては、顔を赤らめ、「おまじない」と反芻しては、大事そうに何度も何度も手で往復した。
「こーよーさん、ありがとう!俺うれしい。」
本当にうれしそうに笑う。
その姿を見て、紅葉はほっと胸をなでおろした。
本当はただ触れたかっただけ、という思いはずるい大人の小箱にそっとしまいこんだ。
「さて十代!楽しいデュエルをしようか。」
にっこり笑ってデッキを繰る紅葉を見て、十代はこっくんと大きくうなづいた。
「うん!楽しいデュエルをしよう!こーよーさん!」
二人のデュエルを、四つ葉のクローバーが静かに見守っていた。
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