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お久しぶりのSSです。
遊アキですが、ブルーノが半分くら出でてきます。
遊星さんのメンタルが豆腐です。
ブルーノが男前です。
はあ、性格崩壊乙λ....
ブルたんと仲のいいアキさんにやきもきするゆせさんです。
もしよろしければ下のタイトルからお願いしますー!
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最近、何だか落ち着かない。
微かに覚える違和感に、遊星はむずがゆいような感覚を覚えていた。
飼い猫に手を噛まれる
「ねえ、ブルーノ。ここはどうなっているの?」
「ん?ああここはバキュームプラグって言ってね、二気筒のキャブレターを同調させるときに…」
アキ用にこさえたDホイールを前にして、小さく固まる赤と青。
赤は言わずもがな、遊星と同じ赤き竜の痣を持つ少女、十六夜アキ。
青も言わずもがな。チーム5D'sのスーパーメカニック、ブルーノ。
色の三原色のうちの二つがそろってバイクメンテ実習。
アキは何かにつけブルーノに噛み付いていた姿が印象的だったためか、遊星にとってその2ショットは目を丸くするほどに驚くべき事態だった。
この事態は、何も昨日今日起こったわけではない。
Dホイールのライセンスを取った後辺りから、「教えてほしいことがあるの。」とアキが言い始めたのが発端。
自分に聞いても、何だって教えるつもりだったが、少女が選んだのはスーパーメカニックのほう。
彼は記憶こそ混濁はしているものの、Dホイールのことに関しては天下一。
知識だけで言えば、遊星に勝るとも劣らない。
尋ねるには最適な人物であると彼女が捕らえたのであれば、その目に狂いはない。
「キャブレターって?」
「燃料と空気を混合する装置のことだよ。
うーん、日本語では気化器っても呼ばれるけど、実際は気化じゃなくて霧化させているんだ。」
会話は遊星の視線にかかわらず続く。
青年の丁寧な説明に、黙々と理解を深めるアキ。
分からなければ突っ込んで尋ね、ブルーノも的確に回答する。
あっちは、こっちはと尋ねて行く少女の顔はどこか楽しそうで、教える側も慈しみの表情に溢れて。
仲がいいんだな、と一人ごちて、…胸がどきりとするのを感じた。
どきりとする?
疑問符を浮かべる遊星。
何にどきりとしなければならないのか。
過程は如何にせよ、二人が仲良くしていることは喜ばしいことだ。
こうして並んで会話をすることなど、以前では考えられなかったことで。
楽しそうに会話している姿は、喜びこそすれ、ドキリとするような事態ではない。
改めて二人を見やる。
レンチを回しながら説明を続けるブルーノ。
アキは何かに気付いたのか、目をぱちくりさせた後くすくすと笑った。
「汚れてるわ。」と少女の手が伸び、頬を拭う。
拭われたブルーノは突然のことに驚いたのか、慌てて尻もちをついた。
ぷ、と吹き出しがもれる。
あははと笑いがこぼれる二人。
和やかな雰囲気、そこには以前のとげとげしさ(とはいえアキが一方的にトゲトゲしていたわけだが)はなくなっているように見えた。
だがそのとき。
一番驚いたのは、ブルーノよりもその後ろにいる青年だった。
手に持っていたオシロスコープを思いっきり取り落とす。
がしゃん、と嫌な音がして、オシロスコープは床に叩きつけられた。
―――――――おそらく、再起不能。
勿体無いことを、と普段の彼なら思うだろうが、あいにく今は思考が上手く働かない。
自分の計り知れない何がしかが、ざわざわと渦を巻くのだった。
一体何に、どうして。
問いは空に掻き消える。
「遊星?」
音に何かを感じたアキが、こちらへと駆け寄ってくる。
タイトなライディングスーツに身を包んだ細いからだが、ぱたぱたとこちらへ向かう。
慌てて、落としたオシロスコープを拾い上げた。
「驚かせたな。」
「ううん、大丈夫。それよりどうかしたの?」
うつむいた顔を覗き込むアキ。心配そうな色が瞳の中に滲むんでいる。
白磁に薄紅を落としたような美しい肌、燃えるような赤い髪と暗い真紅の瞳が印象的だ。
この顔で、笑って、怒って、泣いて、慈しんで。
以前の、仄暗い思いにとらわれてたころとは大違いだ。
苦しみ、恨み、嘆き、怒りに打ち震えていたあの頃はちがう、柔らかい表情。
こんな柔らかい表情が戻ってきて、良かったと思っているのに。
荊に閉ざされた冷たい心が解きほぐされて、良かったと思っているのに。
どうしてこんなにも胸がざわつくのだろう。
誰かに対してその優しさを惜しみなく与えることが。
自分以外の誰かにその優しい笑みを与えることが。
感謝されたいわけでも、恩義に思って欲しいわけでもない。
だけれど、他者へ向けるその優しさが、今はどうしてか苦しい。
まるで、飼い猫に手を噛まれた気分だ。
「…遊星?」
青年の沈黙に、訝るアキ。
無言は遊星のステータスでもあるが、今日はどうにも変だということは分かる。
押し黙ったまま、壊れてしまったオシロスコープをじっと見つめる。
そう、まるでこのオシロスコープのようだ。
自分のおかしな所が、壊れてしまって少しも分からない。
「…なんでもない、心配するな。」
精一杯、口を動かして。
遊星は踵を返してしまった。
「なんなの…?」
残されたアキは、ただ小さく呟いた。
** **
夜、既にジャックとクロウは眠ってしまったころ。
いまだに明かりのともる部屋、金属のこすれあう音。
ブルーノと遊星は、まだ愛機たちのメンテナンスを行っていた。
静かな部屋に、単調な音が響く。
揺らめく橙は暗い部屋を照らしていく。
その明かりは電灯であるというのに、どこか頼りない。
「そういえば」
小さな音だけが支配していた世界に、ふと生まれたのはブルーノの声。
「彼女は本当に飲み込みが早いね。アキさん。
こっちも教え甲斐があってついつい熱中しちゃったよ。」
弾む声、楽しそうな言葉に、チクリと心が痛む。
何気ない会話、ごく自然なことなのに。
思わず作業の手が止まる。
「そうか。」
もともと言葉数の少ない遊星だが、さらに言葉が短く小さくもれる。
カチャリ、とレンチが床に置かれた。
遊星との付き合いは短いが、それでもいつもの質の違う空気は分かる。
「遊星…?」
機微を汲んで振り返るブルーノ。
青年の背中は、どこか寂しく、哀愁を漂わせて。
寂しいのを必死に我慢している子供のように見えた。
続く沈黙、促すことも憚られ、ただ黙る。
「………十六夜とは、最近仲がいいな。」
漸くにこぼれだした声は、小さく、掻き消えてしまいそうなほど頼りない声だった。
レンチを弄くる遊星。その度にかちかちと床を叩く音が聞こえる。
「アキさん?…そうだなあ、昔はちょっと怖いなあって思ってたときもあるけど…。
…って、どうかした?遊星がこんなこと聞くのって珍しいよね。」
きょとん、と小首をかしげて返事をするブルーノ。
その声質に、図らずもおどろいて肩を震わせた。
「…っべつにっ…、そういうわけじゃ…っ」
振り返って、声を荒らげる。
誰も何も言っていないのに、妙な反応だ。
そういうわけ、なんて一体どういうわけだというのだろう。
言い切ってしまってから、その事実に気付いたのか、頬に赤く朱が差す。
唇をかんで、うつむいてしまう。
どうしてこんなに頭が混乱するのか。
アキのことを考えるたびに毛糸がからんだように、思考が滅茶苦茶になる。
冷静な判断が出来なくなる。
いつもの自分とはまるで違ってしまって、くるしくなる。
「……~~っ」
「遊星……、もしかして、やきもち?」
ブルーノが、言葉を発する。
その言葉が、心を強く揺さぶった。
「……」
息だけが、小さく反応した。
喉がゴクリと鳴って、
それが正解かは、自分でも分からない。
ただ、その言葉が一番しっくりと、自分の今の状況を整理する名詞であることは理解できた。
小さく百面相する遊星の顔をみて、青年は確信に至る。
「素直じゃないの。二人とも。」
ブルーノはにっこりと笑った。
「ふ、たり?」
ふたり、
二人とは一体誰と誰のことを言っているのだろう。
遊星は小首をかしげる。
話の流れの上で、そのうちの一人は自分と分かる。
では、もう一人は一体誰だというのだ。
半ば理解していない青年を置いて、言葉を続ける。
「そ。遊星と、アキさん。
二人とも、デュエルはいつもまっすぐで素直なのに。凄く素直じゃないんだね。」
これは内緒だけど、とブルーノは耳打ちした。
「アキさんが、Dホイールについてしつこく聞いてくるのは、
君と同じフィールドに立ちたいから、なんだよ?知ってた?」
心なしか、弾んだような声の青年。
それはきっと、ずっとずっと心の中に秘めていたことを吐き出せたという雰囲気をはらんで。
まるで、「王様の耳はロバの耳」の理髪屋の店主のようだ。
アキは、遊星と同じライディングデュエルの世界に飛び込んだ。
でもそれだけでは遊星と同じフィールドに立ったとはいえない。まだスタートラインに立っただけだ。
アキと遊星の間には、経験と知識のブランクが大きく広がっている。
少女はこれを何とかして埋めようと必死だったのだ。
近づきたくて、もっと同じ目線で世界を見たくて。
生真面目な彼女のことだ、目標としている人間から聞くのは憚られたのだろう。
だからこそ、メカニックに関してはもっとも遊星に近いブルーノに白羽の矢を立てたのだ。
「『遊星に聞けば良いのに』っていったら『それじゃ意味ないのよ!』って怒られちゃったんだ。
………君に頼らず、同じ世界に立ってみたいんだって。」
情景を思い出したのか、くすくすと笑う青年。
きっと凄い剣幕だったのだろうが、それを笑えるのはブルーノだからこそ。
事の顛末を聞いて、遊星はたまらなく嬉しさがこみ上げてくるのに気付いた。
ブルーノと一緒にいるのがどこか寂しくて、ブルーノに笑いかけるのがちょっと悔しくて。
でもそれが自分と同じ世界を見たいという思いからだったなんて。
思いがけずに、くすぐったいような甘い疼きに駆られる。
その感情をなんと呼んでいいのかは分からない。
だが、決して悪いものではなく、凄く大事にしなければならない感情であるのは分かった。
「……そうか。」
小さく吐き出された声。
ぶっきらぼうそうに聞こえるが、その声に柔らかな色が乗っているのに青年は気付いた。
「はい、ネタバラシはここまで!あとは自分で頑張ってね?遊星。」
さーて続き続き、と伸びをするブルーノ。
どうやら、最後までは教えてくれないらしい。
どっこらと作業を再開する。
カチャカチャと淡々とした音が再び部屋を支配する。
しつこく聞くことも憚られ、青年もまただまって作業を開始する。
しばらく沈黙した後、ふとその沈黙の中に声が放たれた。
「その…なんだ……。………ありがとう、ブルーノ。」
その声は、少し照れたような、淡い雰囲気を印象付けた。
「どうしたしまして、遊星。」
声の色に嬉しくなって、ブルーノはふふと微笑しながら返事をした。
――――――後日、二人の関係がすこしだけ柔らかく甘くなったのは、また別のお話。
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