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なぜかヨハ十
うーん、ヨハンも十代も掴みきれてないのが見え見えすぎて泣ける。


下のタイトルからどぞー








晴れた空、



もがいても届かない距離というものがある。

どんなに手を伸ばしても、空には届かない。
こんなに近いのに、ひどく遠い場所。


ヨハン、と言う人間と自分…遊城十代の距離を的確に表すとしたら、これより適したものはない。
彼はいつも自分の目の前を悠々と歩いて行く。
どんなに全力で走っても、彼の歩みには到達できない。
肺が潰れそうなほど走って、両の脚が重くなるほど追いかけて。
それでも彼のいる所へはたどり着くことが出来ない。


優しいヨハンは決して置いていく事はない。
時々振り返っては、十代を待っている。

………そこにいるのに、待ってくれるのに。
どうしてもたどり着けない、彼の手を、捕まえることが出来ない。



どうすればヨハンに追いつけるのだろう。
どうすれば彼と同じ場所にたつことができるのだろう。



今はまだ、待っていてくれる。
でも、いつか、いつか彼も自分を待ってくれない日が来るかもしれない。
遠くへ遠くへ、いつしか見えなくなってしまうほどに。



いやだ、置いていかれるのはいやだ。
追いつきたい、置いていかれる前に。

置いていかないで、おいていかないで…。




「ヨハン…置いていくな…」



「十代、じゅうだい!」
声が降ってきた。
風とは違うものが、髪を撫でていく。
十代はゆっくりと瞼を開いた。

涙で潤んだ視界に、濃碧の姿が映る。
それは陽の光をうけてキラキラと輝いていた。



「よはん…?」
乾いた口を小さく動かして少年は名前を呼んだ。
目の前の青年は、ずっとずっと焦がれていたヨハン・アンデルセンその人だった。

辺りは若い緑と空の青に覆われた世界。
差し込む木漏れ日が、起きぬけの目に眩しかった。
どうやらいつもの場所で居眠りをしていたようだ。



「どうしたんだ十代?ひどくうなされたようだけど…。」
心配そうに顔を覗き込むヨハン。
髪よりもずっと明るめのエメラルドの瞳が、心配そうにこちらを見つめる。
柔らかな手が、何度も何度も頭をなでる。

……こうして傍にいてほしい、置いていかないでほしい。




無意識のうちに、十代はヨハンの手を握っていた。



「十代?」
呼びかけに、もごもごと、幾許か言葉をつむごうとする。
しかし、そのどれもが声帯を震わすことなく押しとどまる。
「……わりぃ。なんでもないや。」

微笑する十代、握る手が微かに震えている。
弱弱しい視線、心許ない声。
寝起きで気が緩むということは珍しくないが、今の彼は常の十代からは想像もできなく脆い印象を覚えた。


本当は寝てるのをいいことに圧し掛かっていたずらの一つでもしてやろうと思っていたが。
こんな姿を見てしまっては、そんな幼稚なことをする気にはなれない。




それよりも、今すべきことは。



「隣ジャマするぜ~。」
ごろん、と十代の隣に寝転がる。
目を丸くする少年を大きく包み込む。
力強く抱きしめたその頭はお日様の匂いがした。



「ヨハン?!」
「へへあ、お日様とおんなじ匂いがするのな…。」

唐突に抱きしめられて、驚かないものはいない。
例に漏れず、腕の中でもぞりと身を捩じらせた。
そんならしからぬ殊勝な態度も珍しく、図らずもかわいいと思ってしまう。
鼻腔いっぱいに柔らかな香りを吸い込んで頬を摺り寄せる。
腕の中で持て余した十代は、うーと威嚇するようにこちらを睨みつける。
だが、さして強くない眼力に思わず笑みがこぼれてしまう。



置いていくな、と彼は言った。

小さな寝言だったがヨハンにはしっかりと聞こえていた。



そんなこと絶対するはずが無いのに。
例え置いていかれたとしても、彼を置いていくなんてありえない。
どんな状況だって、この手を離すなんて考えられない。
友情・愛情・親愛…。
この感情を何がしであると表現するのは難しい。
言語に落とし込みにくい感情の奔流はとめどなく。溢れてやまないそれを止めるすべも知らない。



「置いていくもんか、大切な十代をおいてなんか。」
先ほどよりも強く抱きしめて、耳元でささやくヨハン。
その声は、囁きにもかかわらず力強く、驚くほどに安心感を与えてくれた。


「……ちぇ、聞こえてたのか。」
ばつが悪そうに目を伏せる。
聞こえていたことが恥ずかしくて、でも置いていくもんかといってくれたことが嬉しくて。
顔が熱くなるのをとめられない十代は、なるべく隠そうとさらに俯いた。
伏した顔か表情は読み取れない、だが見え隠れする耳が真っ赤だ。
隠そうと躍起になるその姿に、ヨハンは愛おしさから頭を優しく撫でた。

ふああ、とヨハンの口から大きな欠伸。
つられて十代もふああとあくびをした。
陽気な空は清清しいほどの青、風は優しく凪いで肌を撫でる。
暖かな日差しを受け、二人ともうとうとと舟をこぎ始めた。


「おやすみ、十代。夢の中でデュエルしような?」
「…ああ、おやすみヨハン。楽しいデュエルにしようぜ!」


自分たちの言葉が面白かったのか、くすくすと笑いあう二人。
そして、互いの睡魔に身を任せて。
ゆっくりと目を閉じるのだった。






*********



なんでヨハ十だったんだろう。大好きさ!
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