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思いついてはいたけれどかけてなかったのでかいてみた。
尋ねても、肝心の人は居らず…。
びっくりするほどすれ違う遊アキが、個人的には萌える。


よろしければ下のタイトルからどうぞ。






「遊星ー?いるー?」
簡素な工場兼住居に、響く女の声。
天井の高い部屋に、メゾソプラノの声が響いて消える。

返事は、返ってこない。
何度か呼んでみるものの、返事はなし。
どうにも全員外出をしているようだ。
今日こそは物理を教えてもらおうと勇んで来てみれば、肝心の人は留守。
いつもいつも遊星には肩透かしのアキ。そろそろ彼にソーンウィップをお見舞いする頃なのかもしれない。
肩を怒らせて「もう!」と一人荒っぽい声を上げる。

…しかしもって。
折角回り道をして寄ったのだ、居ないからといって「ならば帰ろう」、と言うわけにもいかない。



誰もいない住居に勝手知ったるなんとやら。
アキはずんずんと中に入っていく。
鍵もかけず不用心な。と眉をしかめるが、以前彼がすんでいたサテライトには、鍵はおろか
「家」と呼べる有り様ではなかったと思い至る。
生活感の溢れるごちゃごちゃしたテーブル。対して整然とした作業台。
カオスとコスモスの入り乱れた光景に、4人の生活ぶりが垣間見える気がした。


この散らかされたカップ麺と、向かいのコーヒーカップはジャックのものか。
隣の自由帳と色とりどりのクレヨンは恐らくクロウと子供たちのもの。
先ほどまで、どれだけ此処が騒がしかったかが良く分かる。
ジャックと子供たちが、同じレベルでぎゃんぎゃん騒いでいたのだろうと想像できる。


作業台の上に纏められた荷物。ひよこのエプロンはブルーノ愛用の品。
かなりの長身にも拘らず、こういった愛らしいものが似合うのは性格ゆえか。

そしてそのとなりの。
紺の作業ボックス。パーツボックスに綺麗並べられたパーツ片たち。
何か新しい機械を組もうとしていたのだろうか。いくつかは既に組まれ形を成していた。
その持ち主といえば…。


「遊星。」
思わず声が漏れる。
ふらりと彼の席へ足を運ぶアキ。
簡素な椅子の背もたれを撫でる、つるりとした面が細い指を流れていく。

彼はいつもここで一人座って、背中を丸めて何かをせっせと作っている。
それは図面引きだったり、パーツの組み合わせだったり、シュミレーションだったり。
ただただ黙々と、しかしその背は楽しそうに。
その雄弁な背中を見るのが好きで、職人気質の寡黙さが堪らなく愛しい。


ふと、視線にマグカップが映る。
中には飲みかけのコーヒー。黒く煌いて、触れてみればまだ微かに暖かかった。
少し前まで、遊星がここに座って、コーヒーを飲みながらパーツを弄っていたのだろう。
軌跡を辿り、アキもこっそりそこへ座ってみる。

これが普段彼が見ている世界、空間。
簡素で平易だが、そこには無限の可能性が広がっている。
いつもどんな気持ちでここに向かっているのだろう。
思い通りに進めば満足するし、試行錯誤の末に擲つこともあるのだろうか。
想像するだけで答えは出ない。でもアキにとってそれもまた楽しかった。


飲みかけのコーヒーに手をつける。
徐に口へ運び、ぐっと飲み干す。
濃い目に入れられた液体は、冷えてより苦々しく感じられた。




「…にがい。」



ふふ、と微笑んで。
少女はかたり、とマグカップを置くのだった―――――――。



******

おしまい。
遊アキはしゃべらなくても、絡まなくても、心の深いところで繋がってればいい。
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