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久しぶりのヴァンガ

三和櫂三和イメージが加速した!
結果がコレだよ!ないたね!
三和君弟いそうだよね、っていってたら妄想弟でてきちゃったからちゅういだよ!


良ければ下のタイトルより










いつもの席がひとつ空いている。
いつもの声がひとつ足りない。
それだけで、世界は色を失う。



「三和ー、三和タイシー。……今日は休みか。」
教師の声を薄く聞きながら、櫂はふん、と鼻を鳴らした。





色のある世界





「え?プリントを届ける?それはありがたいが…。」
放課後、職員室を訪ねた櫂に、担任はどこか面食らった顔をしていた。
普段誰も視界に入れず、誰にも興味がない風をしている櫂が三和のプリントを持っていくと申し出たのだから。
必要最低限の言葉だけを落とし、伸ばされた手にプリントを手渡す。
雑にかばんに入れてしまうと、少年は再び無言で踵を返した。

「失礼します。」
言葉だけは丁寧に、礼もせずにぴしゃりと戸を閉めた。


「あの櫂がねぇ~。」
担任は顎を撫でながら綺麗に閉じられたドアの向こうを見ながら、感慨深く息を吐いた。



いつもより早足の道のり、いつもの帰路とは違う風景。
勝手知ったる道を黙々と歩きながら、風に髪を遊ばせる。

一日を振り返れば、実に色のない一日だった。
授業も変わらずつまらないただの説明だし、周囲の声は相変わらずの雑音だった。
だがいつもは色があった。鮮やかで、目が痛いほどに美しい。
ひとつの声が、色を作り。ひとつの動きが、色を混ぜる。
その所為か、いつも周囲は色とりどりで鮮やかで眩しくてしょうがなかった。
それが当たり前だったし、そこに疑問を持つ余地などなかった。
時折わずらわしいとすら感じるものが、ただひとつかけたというだけなのに。
世界は急速に色を失う。
灰色で面白くもない世界がただ広がって。
響かない、輝かない、つまらないただの世界。

それが誰の因果か、誰の所為か。
分かるけれど、認めたくなくて。
認めたくないけれど、それはなんだか悔しくて。



気がつけば、家の前についていた。




『三和』と表札のかかった玄関。
閑静な住宅街に似合いの有り体な建築物を前にして、沈黙する櫂。
わざわざインターホンをならして、手渡しするべきか。
否、わざわざ恩を売りに来たようないやらしいやり方は気に食わない。
いっそポストに投函してしまえば後腐れも貸し借りもない。
三和との関係は貸し借りなど一切あってほしくない。
貸しもなければ借りもない、対等な関係。
ごそごそ、と鞄をまさぐる。
物の少ないその中には、さっきもらったプリントのファイルと、珍しく取ったノート。
普段は必要最低限しか書き付けていないノート、今日は少しまじめに。
そのセットをポストに入れ込んでしまえば、何の問題もない。

すこし細めの投函口に半ば無理やっこ詰め込んでいる途中だった。




「へーへー、行ってくるから待ってろよ~。」
ガチャリ、と玄関ドアの開く音がした。
慌てて背筋をぴんと伸ばす櫂。
やましいことをしているわけでは決してないのに、無意識とは恐ろしいもの。
まさか三和が出てくるとはおもっていなかった。
ただ投函して帰る、それだけだったというのに。

「あー?だいじょうぶだって、もう十分元気元気。いってきまーす。」
いつもの声が耳を撫でる。
色が息づく。
いつもの姿が視界に映る。
色が混ざり合う。

今まで灰色だった世界が、眩しいほどに輝き始める。
いつもの眩しい世界が戻る。


「…ん?お!アレ?なんだー櫂じゃん!どうしたんだよ?」
けんけん、と玄関口の階段を下りてきていた三和の目に捉えられる。
今から逃げてしまおうか、ともちらりと考えた。
だがあまりにも幼稚すぎて、やめてしまった。
見つかったのなら、堂々として帰ればいい。

「プリントを持ってきた。用はそれだけだ。」
狭いポストに無理矢理つめようとしていた所為か、よれたプリントとノートを手渡す。
手早く済ませて帰ろうとする櫂の手を、パシリと取る音。
手首に感じるあつい肌の熱。


「おいおい帰んなよ、せっかく持ってきてくれたんだろ?」
「別に」
優しく笑む三和に、投げやりに呟く。
だがその挙動の内側を読むのは三和には慣れた作業だった。
手渡されたプリントの下にある厚みはおそらくノート。
普段櫂がノートを殆ど取らないことを知っている。
それをあえて手渡すということは、板書をしてくれたということだ。
平素はひた隠している心遣いが見え隠れする。
嬉しくてたまらない。

ぐい、と握った手をこちらへ引っ張る。
全く予想をしていなかった櫂の体は慣性に従って結果三和の胸へと飛び込むことになる。
熱っぽい胸板が頬に触れる、鼻腔には風邪の匂いが届く。
まだ本調子でないのは火を見るよりも明らかだった。


「!」
「ありがとな!俺スッゲーうれしい。」
ぎゅう、と強く抱きしめられる。
熱が伝わる、色がない交ぜになってぐちゃぐちゃの渦になる。
三和といると、本当に色で目映くて目が痛いな、と櫂は一人ごちる。
それが幸せであるということに気づくのは、まだあとのこと。


「離せ。気色が悪い」
「っと、わりぃわりぃ、風邪移ったらやばいもんなあ。」
べり、と体をはがして大丈夫か?と小首をかしげる。
それはこっちん台詞だ、と思うがあえて言うのも面倒で。
くるりと踵を返す。
用事は終わった、とんだイレギュラーに巻き込まれたが、結果オーライだ。


「俺は帰るぞ。」
手をポケットに突っ込み、いつもの恰好で颯爽と帰宅を決め込む。
だが相手もまたとことこと足早について来て、いつものポジションに納まった。
はたして家で寝てなくていいのか、と目で訴えてみる。
三和は肩をすくめて、頭の後ろで腕を組んだ。


「帰ってねろって?わーってるよ、でもその前に近所のコンビニまで買い物。」
からころとサンダルの音を鳴らしながら笑う。
聞けば弟から廉価したであろう限定商品を買って来いというお達しが出たそうだ。
一応は病気に喘いでいる兄を顎で使うとは、三和弟は果たして大物になるだろうな、とイメージした。
いつものように並んで歩く道。
同じ道を一人で通ってきたというのに、全く違う様子に見える。
それは隣に彼がいて、ここに色があるから。


「夕日が目に沁みるな。」
地平線にむかって大きな夕日を眩しそうに見つめながら、櫂は小さく呟いた。
道路には、二人の影が長く跡を作った。




********************



おしまい
三和櫂三和あああああああ
めめㄘんありがとう、ありがとう。
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