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絵茶にてみわんことかいにゃんがはあはあしたので。

擬人化ならぬ擬獣化けもけもとかにがてなひとはバック!
よければ下のタイトルより








隣の家に住んでいる猫は、なんだかどこか寂しそうだった。


「なあなあ!ねえねえ!」
柵越しに、わんわんとほえてみる。
猫のほうは、ふいとこっちを見たようだったが、再び空に視線を移す。
悔しくなって、ちょっと大きな声でわんわんとほえてみる。

「なあなあ、ねえねえ」
猫は、またこちらを見て、また、視線を外す。
また悔しくなって、今度はもっと大きな声でわんわんとほえてみる。

「ねえねえ!櫂!かい!!」
柵にめり込まんばかりに顔をくっつけて、呼ぶ声に。
猫はびっくりしたようにこっちを見た。
「かい」というのは、隣の家にすむこの猫の名前だ。
この前ボール遊びをしている時に、家の人が彼をそう呼んでいるのを聞いた。
とても珍しくて、かわいい名前だったから、覚えていた。


櫂はこっちをじっと見て、じっと見て、じっと見て。
知らなければ置物じゃないのかとおもわんばかりに全く微動だにしない。
なにを怯えているのだろうか、何の関係もない自分が名前を知っていたのがそんなにびっくりだったのだろうか。
それとも、あまりにも大きな声だったから、怖がらせてしまったのだろうか。
今度は大人しく、小さな声でもう一度声をかけた。

「かいっていうんだろ?お前。」
「……なんで、俺の名前を知っている。」
今度は返事が帰ってきた。
凛と、鈴のような透き通る声がにゃあとかえってくる。
かわいい子は、声もかわいいんだなと改めて思わされる。
整った容姿、小さな体。耳や体は真っ黒。
唯一尻尾が白いのがチャームポイントになっている。
この街中を制覇したおさんぽマスターだが、かつてこんなかわいい子に出会ったことはなかった。


「この前お家の人に呼ばれてるのが聞こえたんだよ。あ、オレタイシね、三和タイシ。」
しれっと自己紹介をすませる。
口パクで「みわ、たいし」と復唱する櫂。
もぐもぐと噛み砕くように何度か繰り返して、それからまたふいとそっぽを向いた。
せっかくこっちに顔を向けてくれたのに、もっと話をしたいのに。


「なあなあ、お話しようぜ?あ、骨いる?」
どうにかして興味を示してほしくて、慌てて小屋の中の宝箱を漁る。
がさがさ、と中をまさぐると、奥のほうから現れた細くて白い骨。
大事な大事な骨だけど、気に入ってくれるなら。
小さな口いっぱいにくわえて柵のところまでもっていく。
尻尾は感情を押さえられず、ばたばたと地面を掃除する。


ぽん、と柵越しに投げて寄越す。
物音に視線を動かした櫂は、投げ込まれたものをちろりと見やる。
思惑通り興味がわいたらしい彼は、とててと小走りによってきた。
鼻を引くつかせてそれを確認すると、眉間に皺を寄せて三和を威嚇した。


「どうしてオレに構う。おまえもオレをわらいたいんだろう。」
突然威嚇されて、三和はきょとんと首をかしげる。
ただお話がしたくて、もっと近くでその姿を見たくて。
気になるから声をかけたのに、わらうだなんて。
それに、彼のどこに笑う要素があるのだろう。
近くで見ても櫂はかわいい子だ。
毛並みも艶も綺麗で、エメラルドを嵌め込んだような綺麗な目。
笑うところなんて少しもないのに、どうしてそんなに背中の毛を逆立てるのだろう。
フーッっと体を奮い立たせて、こちらを威嚇する櫂。
その姿は、なぜか。
自分を守る虚勢にも見えた。


「うんにゃ、オレはただお前とお話したいだけだぜ?
笑うとこなんて、ちょっともないじゃないか。かわいいじゃん。」
あっけらかんと言葉を投げつける三和。
本当に本心、混じりけのない100%の本心。
動揺するのは櫂の方。


「だって、おれは、くろねこなのに、しっぽだけしろいし。」
口ごもりながらぽつぽつという。
ふたたび首をかしげる三和。
どうしてそんなさびしそうな声で鳴くのだろう。とてもかわいいのに。

「かわいいじゃん!」
正直な言葉をかける。
だが、かたくなな櫂はふるふると首を振ってうなだれる。
今にも泣き出しそうな声で、小さく鳴いた。

「だって、みんな『へんなの』ってわらうぞ。」
「それ、俺のうちの人がいってたぜ?『わんぽいんと』っていって、おしゃれのひとつなんじゃん?
どこのがそんなこといったかしらねぇけど、おれはすきだぞ!」
にっかりとわらう三和。
初めて近くでみて、初めて話をして。
『いとおしい』とおもえるのは。
ただ人懐こい自分の性格だけではない、と三和は確信していた。

櫂は面食らったように目を見開いて、それから照れ隠しのように首を振った。
探るように三和を見つめる。
だが、何も考えていなさそうな能天気なもさもさの姿を見たら。
疑るような余地など1ミリもないのだろうと、毒気を抜かれてしまった。

とててと柵ぎりぎりまで近寄る櫂。
突き抜けんばかりに鼻を突き出していた三和のその鼻先に、ちょんと自分の鼻頭を当てる。
わあ、とびっくりして体を引く三和。
急にかわいい顔が近づいて、ドッグランで全力疾走したときみたいにドキドキと心臓が痛くなる。
いやか?としょんぼり聞かれて、はっとあることに気づいた。
そういえば、近所のアイチって猫が言っていた。
『鼻頭を合わせるのは、猫の挨拶だよ』と。


「わ!ごめんな櫂!これって猫の挨拶なんだよな。ありがとう、もう一回しよう?」
挨拶を拒絶されてしょぼくれた櫂に、再び顔の形が変わらんばかりに柵越しに鼻を突き出す。
その顔が面白かったのか、さっきから怒ったり驚いたりだけだった顔が少し緩んだ。


「へんなやつだな、おまえ。」
こつん、と湿った鼻を合わせて。
二人はくすくすと小さく笑いあった。



************


おしまい!
みわんこもふもふうううう!櫂にゃんぺろぺろおおおおお!!
櫂にゃんからだったから鼻チョンですんだけど、もし犬だったら親しみこめて尻のにおいかぐよな。
それはそれでかわいい。けどシュール

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