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三和櫂三和

まだ付き合うようになってから間もない頃くらいがこんな感じだったら良いなという妄想。
最初からカードキャピタルとか普通にはいけなかっただろうなふひっていう


よければ下のタイトルより









落ちれば、それは恋の音。




「かーいー!」
放課後のチャイムと部活に帰路にと騒がしい玄関口。
下駄箱で既に上靴を戻している櫂に、大きく手を振る姿。
金色のはねっ返りの髪、人懐っこい顔。
見慣れたクラスメイト、三和タイシの姿だった。

「なんだ」
言葉少なく、靴を履く。
慌てて上靴を脱ぐ三和の姿を尻目に見ながら、こんこんとつま先を地面に打つ。

「『なんだ』じゃねーよ、置いてくなよな~。」
適当に脱ぎ散らかしたそれを外靴の代わりに下駄箱へねじ込む。
ぱん、と落とされた外靴にまた適当に足をねじ込む三和。
それを完全に無視して、先に玄関を出る。
家が近所だというわけでもない、わざわざ一緒に帰る必要もない。
だがどうしてか、置いていっても置いていっても三和は後をついてくる。
無碍にしても、無視をしても。
隣にはこの姿がある。
駆ける足音が、段々と近づいた。

「追いついたっ」
息を吐きながら、歩調を駆け足から並足へと移す。
気にしないふりをしながら、ちらりと横目で青年を見る。
きょとと愛嬌のある目と目が合う。
なんだか気恥ずかしくてふんと鼻を鳴らした。


しかし困ったことになったな、と櫂は目を泳がす。
今日はカードキャピタルに寄って最新ブースターを買おうと思っていたのに。
流石に三和の前で買うわけにはいかない、笑われるに決まっている。
家は別の方向だが、別れてからではカードキャピタルを通り過ぎている。
わざわざ戻るのも面倒だし、家に一度帰ってしまったら出たくなくなるのは目に見えている。


「…なぜ俺についてくる?」
「あ、え?なに嫌?」
嫌というわけではないが、と口ごもって、失敗だったなと思い直す。
じゃあいいじゃん?だなんて、にっこり笑われてはどうしようもない。
むうと口をつぐんで歩幅を広くする。
併せて、三和の歩幅も少し大きくなる。



無言の帰途。
無言とはいえ、三和の口はいつものように饒舌に回って。
返事も殆どしない櫂だが、それでも三和は楽しそうで。
そんな相手を見ながら、退屈しないのも事実で。
カードは、また明日でも良いか、なんて思い始めた頃だった。


「櫂、なんか隠してねぇ?」
突然、行き先を三和にさえぎられた。
くるりと前に先回りして、顔を覗き込んでくる。
驚いて、思わずぴんと直立不動になる。

隠していること、というほどの大きなものはない。
ただ、そうただ。


「なにも。」
「うっそだ、顔に書いてあるぜ?」
鼻の頭をちょい、と人差し指でつついて、答えを促す。
息がつまって、こくんとつばを飲み込む。
大きな目が自分を映す。
ほんのすこしだけ、戸惑ったような自分の顔が映る。
誰にも言っていないが、この目には嘘はつきがたい。
ああ、うう、と口のなかで言葉をもぞつかせる。

ん?と小首を傾げられてはたまらない。
三和に対してなんの引け目もないはずなのに。


「カードキャピタルに」
そこまで喉を動かして、またぴたりと口を閉じる。
もともと口数が少ないこともあってか、余計に言葉が出てこない。

「カードキャピタル?ってあれか、ヴァンガードの店。
お?櫂ってそういえばヴァンガードファイトしてるんだっけな。」
いきたいの?と尋ねられ、うっと息を詰まらせる。
そういえばまだ、三和には自分がヴァンガードファイトをすることを告げていなかった。
ヴァンガードは世界共通のカードゲームであるが、やはりゲームはゲームである。
カードファイトをしない者から見たら、子供の遊びの域を出ない。

うつむき始めた青年の姿を見ながら、三和はふっと頬を緩ませる。
本当はカードショップに行きたかったのに、いえなかった櫂。
普段他者には見向きもしないような風をして、他者に主張をすることもない。
なんだか不器用でいじらしくて、かわいくて。
たまんないな、と頬はゆるゆるになるのだった。


「んじゃ、行くか!」
くるんと踵を返して、改めて帰路を進み始める。


「…三和」
「なんだよ、行くんだろ?カードキャピタル。俺も行きたいな。いいじゃん、見せてくれよ、お前のファイト。」
にっかと笑って三和は櫂を先導する。
あっけに取られるのは櫂のほう。
笑いもしなかったしバカにもしなかった。
ただ、いつもと変わらない態度で、いつもと変わらない笑顔で。
嬉しいような、くすぐったいような。
普段は感じないような柔らかな感情を覚える。
そして、同時に湧き上がってくる悔しいきもち。
気取られてしまったことやリードしてもらったことにだんだんともやもやしてきた。


「三和…」
「んあ?なんだよ急に……あだっ!!」
歩みを緩めた三和の尻めがけて、学生かばんを打ち付ける。
普段から教科書などは持ち歩かないためそれ自体は軽いが、中にはプラスチックのデッキケースがいくらか入っている。
デッキケースの支援をうけて、かばんのパワーは少なからず上がっている。
涙目で叩かれたしりを撫でる三和を尻目に、櫂はつんと先に進んでいく。
おそらく、これが櫂のいじらしい照れ隠しなんだと、青年は勝手に解釈する。
かわいいなとは心の声だけにして、ずんずん歩いていく櫂を追いかける。


「待てよ~櫂~っ!」
おいて行かれないようにと慌てて駆け足で追いかける。
並ぶ二人の姿、背格好の似た影が二つ。
ゆっくりと並んで、道の角に消えて消えていった。

その後、カード屋でも思わずからかってしまい尻をたたかれる三和の姿が、見れたとか見れなかったとか。





**************

おしまい。

ケツをぶったたくのは櫂君の愛。

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